北海道の文化と習わし

日本としての北海道は開拓移民で成り立った地方であり、その歴史は浅いと言えます。日本各地の様々な地方の文化が入り交じり、北海道としての新しい文化や習わしが生まれました。その背景には厳しい開拓生活があったということは間違いありません。

◆結婚式・披露宴

現在、日本人の結婚式や披露宴は多種多様で個性化が進んでいます。

ジミ婚(少し時代遅れ?)もあれば、海外ウェディング、ホテル、チャペルなど、とにかく自分の気に入った式が行えるようにと、選択肢も多くなっています。

北海道も同様で、結婚式は多様化が進んでいます。ある程度の都市であればおしゃれな式場もあり、選択肢も広がっています。

北海道の結婚式は会費制で行われることがほとんどです。
情報があふれる現在では、徐々に北海道らしい習わしは少なくなってきましたが、結婚式は相変わらず会費制です。

会費制の式と言うのは、1人1人が会費を出して式に出席すること。招待状には会費○○円と明記されているのでその金額を受付時に支払います。
会費は5,000円~20,000円くらいでしょうか。
会場や内容により料金が大きく違ってくるのが最近の特徴です。

そして、よほど親しい人や近い親せきを除くと基本的にご祝儀は必要ありません。
要はご祝儀は渡したい人だけ渡せば良いということで、ある意味本当に気持ちのこもったものになります。もちろん会費とは別です。

会費制の式を本州で行うと、必ずと言ってよいほど、招待客が会費のほかにご祝儀を包んでくるとかで、評判が良くなく根付くことはないそうです。
「結婚式=ご祝儀」という図式が出来上がっているから、今さらその慣習を変えることはできないのでしょう。

この会費制、開拓時代の厳しい生活から生まれたものだそうです。
貧しく厳しい開拓生活、若い男女が結婚式を挙げるにも費用がありません。そこで、周囲の人たちが少しずつお金を出し合えば、個人の負担も少なくお祝いできる、ということから始まったようです。みんなで支えあっていたんですね。

会費制結婚式では、当然出席者が多いほど多くの会費が集まります。少ない個人負担でも、数が多いとより豪華な式ができます。だから、北海道の結婚式は出席者が非常に多いことで知られていました。極端な話が、新郎新婦と直接面識のない、親の会社の同僚や上司なども招待されるとか。

また、北海道の会費制結婚式は、料理も質素で招待客に渡す引き出物も無いというのが基本。
そして、結婚式前に新郎新婦の親しい仲間で「発起人」というのか構成され、招待状の発送や出欠確認(出欠の返送先も発起人)、受付業務などを行います。
金銭的にも、業務的にも新郎新婦両家にかかる負担がぐっと少なくなります。
なんと、ご両家負担ゼロプランなんていうのもあるくらいです。
新郎新婦の負担も少なく、招待者の負担も少ないのが会費制の結婚式の特徴で、気軽にパーティ感覚で出席できて、礼服を着る必要もありません。
招待状に「平服でお越しください」と書かれていることもあります。平服と言ってもカジュアルではなくて、礼服でなくても良いという程度の意味ですが。

こんな北海道の結婚式も時代の流れで変化しつつあるようですが、会費制は相変わらず多いようです。
ただ、料理や引き出物を豪華にしたり、おしゃれな式場を借りるにはある程度の費用が必要なので、会費が高額になって来ています。
招待客を増やして、より多くの金額を集めるという人も少なくなっているようです。
会費が、本州で友人に渡すご祝儀並みの金額だったりすることも。ご祝儀制だと夫婦連名で出すこともできますが、会費制ならば個人個人ですのでかえって高くつくこともあるようです。

また、「発起人代行業」なんていうものが存在するなど、周囲の人で支えあって行う結婚式という、元来の流れは薄れつつあり、会費制という合理的な部分だけが残りつつあるという状況です。時代の流れには逆らえませんね。

しかし、田舎の結婚式は、昔ながらの式もまだ多いようです。
式場が少なかったりして、理想の式を思うようにできないという理由もあるでしょうが、町の公民館などを式場として利用すると会場費も安くつためか会費が安くなるのです。
その場合は地元の飲食店がご馳走を準備するらしく、食事も豪華だったりします。
田舎は人間関係が密接で、親戚も多いこともあり、出席者も多くなります。
田舎らしい良い結婚式です。

◆お葬式

北海道のお葬式の特徴は何と言っても領収書にあるでしょう。

お通夜に行き、香典袋を受付の人に渡すと、その場で袋をビリッと破り中身を確認。
「○○円でよろしかったですか?」と念を押され「ハイ」と答えると、香典袋に書いてある名前を見ながら領収書を記入、お香典の領収書を手渡されます。
もちろん但し書きは「香典代として」です。

悲しい葬儀にこの事務的な作業、そしてどちらかと言えば、あまり公にすることのない香典の金額をその場で暴露されることに対して戸惑いを感じる人も多いようです。

領収書とともに、香典返し(道東ではたいてい海苔)ももらいます。
あとから香典返しが送られてくると言う事はありませんし、香典返しも質素なものです。

香典の金額も本州に比べると安く、告別式よりもお通夜に出席する人数の方が多いのも特徴です。

◆豆まき

北海道では節分の時には大豆ではなく落花生を撒きます。

これって、北海道だけの習慣かと思っていたら、実は関東より東側では、落花生をまく地方もあるそうです。

北海道らしいと思ったのは、外に撒いた殻つきの落花生も拾って食べると言うこと。
節分の時って外は雪だし、殻もついているし、確かに汚くは無いです。
無駄をしない、食べ物を大事にするというエコロジーでエコノミーな習慣ですな。

◆運動会

北海道の運動会は、春(5月下旬から6月上旬)に行われます。

気候的なことを考えたら、秋の方が天気も良いし、春だと雪解け水によりグランドの整備が大変だったりしますし、子供達もクラスになじんだ秋の方が盛り上がると思うのですが、あまり天候の良くない春に行っています。

なぜ、北海道の運動会が春に行われるかと言うと、札幌農学校(現北海道大学)の初代教頭ウィリアム・スミス・クラーク(クラーク博士)に起因しています。

クラーク博士は札幌農学校1期生との別れの際に発したと言われている「Boys Be Ambitious(青年よ、大志をいだけ)」と言う言葉が有名です。

クラーク博士は学問だけでなくスポーツも奨励し、冬期の戸外運動も奨励され冬山登山も博士により初めて行われました。

スケートも明治10年にクラーク博士と共に札幌農学校に赴任した博士の弟子ブルックス、ペンハローによって紹介されました。
クラーク博士は8か月で札幌を去りますが、ペンハローが、野球と陸上競技を伝え、1878年5月25日に「第1回札幌農学校遊戯会」を開催しました。母校米マサチューセッツ農科大学で行われていたアスレチックミーティング(遊戯会)の開催を提案して始まったもので、二十八回続いて「遊戯会が陸上大会の原点で運動会の先駆け」とされています。

明治7年(1874)3月21日、日本で最初の陸上競技会が築地の海軍兵学寮で開かれたものの、1回のみの開催であり、長期間継続して行われた「遊戯会」が日本初の競技会です。
遊戯会は札幌の名物になって、北海道のスポーツ発展に大きな影響を残しましたが、中央から遠く離れていたので、全国的にはあまり影響が及ばなかったそうです。
遊戯会が全国の運動会の原点となっているわけですが、北海道は開催時期もそのまま受け継がれたのではないかと言われています。

当時の遊戯会の競技はほとんどがアメリカのアスレチックミーティングと同じ競技で、ポテトレース(イモ拾い)、サック競争(袋に詰められて行う競技)、蛙とび競争などの、楽しめる協議もあったようです。

なんでも、クラーク博士が、地域の人と楽しく過ごすという考えの持ち主であったらしく、遊戯会もみんなで楽しむことが大きな目的の一つだったそうです。

その名残からか、現在でも北海道の運動会は、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、 親戚、近所の人等が多く集まり、ビール等アルコールを飲みながら運動会を楽しみます。手持ちのお弁当も超豪華で、みんなでおすそわけしながら食べます。中にはジンギスカンやバーベキューをしながら運動会観戦という学校もあります。それだけ地域にとって大切な年中行事の一つなんですね。花見や忘年会と一緒です。

しかし、転勤などで全国各地から多くの人が行ったり来たりする時代です。
新聞記事にもなったそうですが、数年前に本州からの転勤族が「運動会は学校教育の場、そこに保護者がアルコールとはいかなるものか」と学校にクレームし、アルコールが禁止になったとか。
私も、最初は学校でアルコールと言うことに対して驚きましたが、自分の子供が通っているわけでもないのに小学校の運動会を観戦したり実際にレースに出たりするのって、とても良いところだと思いました。
運動会を教育の場と考えるのは正当な考えなのですが、地域のお祭りだという考えでも良いのではないかと思ってしまいます。

ちなみに、北海道の運動会では保護者による壮絶な場所取りが繰り広げられるらしく、ひと晩泊りこみの人もいたため、現在では「泊まり込みでの場所取り禁止」や場所はくじ引きで決めるなどと言ったルールを決めている学校も多いとか。

◆観楓(かんぷう)会

観楓(かんぷう)会は、秋に紅葉を見ながら飲食する行事です。
北海道では、道南を除くと春の桜が少なく、ソメイヨシノなど見事に花一色になる桜と言うよりは、素朴なエゾヤマザクラやチシマザクラなどが中心です。
素朴な桜もきれいで素敵なのですが、花見客が桜の下で飲食し賑わうと言う場所は少ないという、土地柄です。

そこでか、秋に集まって紅葉を見ながら宴会をすることが定着しています。

観楓会は紅葉観賞が第一の目的ではなく、宴会が第一の目的です。宿泊を伴った宴会が主流で温泉地などで行われることが多いそうです。紅葉を見ることが目的の「紅葉狩り」とはまた異なると言うことです。

北海道では花見も同様ですが、天候や気温の関係で室内で行われることもあります(花を見ない「花見」とか)。

◆残飯文化

以前に、外食産業における1人当たりの残飯の量は北海道が日本一である、というニュースを読んだことがあります。

北海道の人は確かに良く残すなあ、と思います。量が多いから食べられないので残すのではなくて、様々な料理を多く頼みすぎて残すというパターンが多いそうです。

豪華すぎるくらい豪華なのが大好きなのでしょうか。
運動会などのお弁当もすごい豪華な料理ですから。お弁当などは残っても家でまた食べられますが、外食時だと結局は残飯となるので、量が多くなるのです。豆まきの豆(↑上を見てください)との落差が大きくて、ビックリしますね。

◆百人一首

人一首と言えば、上の句と下の句に分かれており、読み手が上の句を読んで、対応する下の句の札を取り合う、という物です。学校でも家でも良く百人一首を暗記したものです。

でも、北海道は少し違います。なんと、北海道は下の句を読んで下の句を取り合うのです。正式には百人一首とは区別して「下の句かるた」と言うそうです。でも、通常はみんな「百人一首」と呼んでいます。 

上の句と下の句をきちんと暗記しないと成り立たないと思っていた百人一種ですが、北海道では暗記しなくても良いのです。なんだか拍子抜けですね。百人一首というよりもカルタだと思えばすんなりと理解できます。そして、紙の札ではなくて、木製の札を使うのも特徴です。

ルールは3人一組で2チームで対戦。
3人で「突手」「中堅」「守備」の役割を決める。
100枚の取り札を50ずつ持ち、持ち札を3段に分けて置く。突きと守備、中堅同士が向かい合い、持ち札は突手5枚、中堅5枚、守備40枚で各自必ず5枚以上とします。
詠まれた下の句に対応する札をお互いに取り合いますが、相手の札を取ったときだけ、見方の札を相手に渡します。札が少なくなると、各自3枚となり、以下は自由となる。 札の置き方は5枚以下は巾1m以内、2枚の時は中段以上50cm以内、1枚の時は上段中央に置きます。
取り札は、正しい札1枚取りとし、お手つきは先についても後についても、お手つきとなる。1回のモーションであれば、数枚お手つきしても、1札のお手つきとなります。最終的に手持ちの札50枚が先に亡くなった方が勝ちです。 (※全日本下の句かるた協会より抜粋)

上の句下の句を暗記すると言うよりも、取る技術が重要で、暗記しなくても良いため、小さい子供でもできます。

Mikimakoのほん

MIKIMAKOの本

もうこの本が出てから3年たったんですねえ・・・。時の流れは早いものです。まだまだ好評(?)発売中のようなので、是非一読ください。