カントリーな暮らし~子育てとへき地教育

自然いっぱい、楽しさいっぱいのカントリーライフ。しかし地域単位で考えると、過疎化に悩まされ、極端に進む高齢化、子供の減少など抱える問題はいっぱい。そんな中での教育はどのようなものでしょうか。

◆案外孤独にならない子育て

核家族化により、孤独な子育てが問題になっています。相談する人がいないため、ストレスがたまり結果的に虐待につながる、この悪循環は田舎とか都会とか関係ない問題でしょう。田舎では小さな子供連れで気軽に歩いて出かけるところがないので、まず公園デビューと言った面倒な問題に悩むことはありません。ですので、自分から出かけなければ孤独にもなるのですが、意外に子育て支援がしっかりしていたりして、子育てサークルなどに気軽に参加できるシステムが組まれています。
また、小さな自治体では人口が少ないため、行政がとても身近なので、役場が実施する乳児健診や育児相談会に出かけると、行政担当者が親身に相談に乗ってくれますし(仕事なので親身な相談に乗りたがる)、同じ月齢や年齢の子供が参加しているため顔見知りも増えます。隣近所が少なくても、子どもと同じ年齢の親などと顔を会わせる機会は結構あるため、逆に都会よりも孤独感は少ないような気がします。

◆幼児時代

小さな集落には幼稚園は存在することは少ないと思います。田舎の地方自治体では、1町村に1つの幼稚園というのが平均で、幼稚園に通いたい子供は市街地にある幼稚園まで通います。
比較的大きな集落や町の中心部には保育所や保育園があることもあります。ほとんどが公立です。ただ、田舎の保育所や保育園は、公務員向けのところも多く、公務員の仕事時間に合わせた保育時間で、週休2日制だったり土曜日午前保育のみである場合もあります。延長保育もありません。あっても最高30分の延長などです。
以前通っていた保育園では、地域に幼稚園が無いため、専業主婦家庭も通える保育園で、幼稚園的な役割も担っていました。専業主婦の家庭もいたり、酪農家の子供が多く融通がきくことなどから、家庭内にインフルエンザの人がいたら、家族全員(もちろん本人も)保育園に出入り禁止になったり、平日の日中に親が参加しなければならない行事が多いなど、働く家庭のための保育園という感じではありませんでした。
うちの真ん中の子供が年長時に通っていた比較的大きな保育所は、延長保育も無く日曜日は休みという点では田舎の保育所に変わりはないものの、内容はちゃんとした保育所でした。会社員や公務員、自営業、農家など多様な職種の家庭の子供が通っているためでしょう。
また、農村部の集落には「へき地保育所」というものが存在することが多くあります。その名の通りへき地にある保育所のことで、農村部の場合は農家に照準を合わせた内容となっています。通常の保育所の保育料が所得に応じた設定であるのに対して、へき地保育所の保育料は一律の場合が多く、保育料も非常に安価です。ただし、調理施設を備えていないためお弁当持参の保育所や学校給食を利用するところがあり、学校給食の場合は別途給食費が徴収されます。保育年齢は各保育所により違うようですが、調理室を備えていないことや、子供の人数の関係で保育士も少ないことから、おむつが取れる前の乳児を受け入れているへき地保育所はほとんどないと思われます。保育時間も各自治体によって異なりますが、野菜農家が主体の地域は保育時間は通常の保育所と同様であっても、農家の仕事がない冬季は休みになることが多く、酪農地帯では通年保育であるけれども、夕方の搾乳の前までに終了すると言うパターンが多いようです。もちろん農家以外の家庭の子供も入所でき、就業証明が必要なこともありません。田舎ならではの保育所です。

◆義務教育

小学校こそがへき地教育の醍醐味と言えるかもしれません。
小さい学校は「へき地校」との位置づけになり、へき地校もランクがあるようです。
と、「へき地」と言ってしまうとなんだか良くないイメージがあるような感じですが、こちらでは「へき地保育所」など「へき地」という言葉は日常的に使われる言葉です。
へき地教育のメリットデメリットを考えてみましょう。

◇へき地教育の良いところ

  • 人数が少ないので、学年や性別にかかわらず友達同士の絆が深い。
  • 先生の目が一人一人まで行きとどくため、いじめ、落ちこぼれなどが発生しにくい。
  • 個人の能力に合わせた教育が可能である。
  • 自然環境に恵まれた地域であることが多いため、自然と触れ合いながら過ごせる。
  • のびのびと過ごすことができる。
  • ◇デメリット

  • 学校を選ぶ選択肢が無い(私立が無い)。
  • 人数が少なく、クラス替えも無いため、新たな出会いが無く小さくまとまりがち。
  • いじめなどが発生すると逃げ道が無い。
  • 複式学級になることがある。
  • 団体競技が行いにくい。スポーツを選べない。
  • 競争意識が無く、将来の受験等に対する意識も低いので、学力が低い。
  • ◇その他

  • 義務教育で受験することは無いので、塾や受験勉強に励むことがない。
  • 小さな学校ではあらゆる面で、親の関わり、手伝いや手助けが必要となる。
  • 同じへき地校であっても、全校生徒が40名の学校と20名の学校では全く中身が違ってきます。個人的で独善的な考えを申しますと、へき地校としては中規模レベルの40名程度の学校よりも、20名ほどの小さめの学校の方が、へき地教育の良い面をより多く感じることができると思います。例えば、同じ複式学級(2学年で1クラス)でも2学年合わせて16名のクラスと、2学年合わせて10名以下のクラスでは全く異なります。複式学級としては16名程度が最大児童数であり(学年により異なりますが)、その人数を超えると単式学級が組まれます。複式学級では1つの教室で2つの授業が1人の先生によって行われるため、16名の複式学級での授業は人数が多く、効率の良い、目の行きとどいた授業を行うには先生もよほど頑張らないとダメなようです。1つの学年に説明をしている間は、もう一つの学年は自習と言うことになりますから、先生は説明をしながら、ほかの学年がきちんと課題を行っているかを見なければなりません。先生の腕一つで授業は全く違う授業風景となります。ただ、全員が素晴らしい腕を持った先生とは限りません。そんな中で人数の多い複式学級では勉強がわかりにくかったり、騒がしかったりと問題が多く発生しやすくなります。うちの子供が3年生の時には、15名の複式学級で、産休の代替え先生の時には静かでわかりやすい授業が行われていたにも関わらず、産休から復帰した本当の先生に変わったとたんに、授業中に立ち歩く、ボイコットする、先生を無視するなどと言った学級崩壊の前兆とも言える兆候が出て問題になったことがありました。他の先生になったとたんに静かな授業となり驚いたものです。教師によっては16名程度のクラスでも崩壊するのです。
    複式学級は授業の進め方が難しいので、児童が自主的にまじめに課題に取り組まなければなりません。だから、実際には少ない人数とは言え、16名の複式学級は多いと思えてしまうのです。
    また、行事などの関係もあります。20人規模の学校ですと、運動会や学芸会などを学校単独で行うにも無理があるため、地域と合同で行ったりします。小さな学校でも、地域住民が参加することにより盛大な運動会と学芸会が催されるのです。特に運動会は地域のお祭り、小学校の子供がいない大人も、おばあさんも、若い青年も運動会で走ります。昼食時にはみんなで豪華なお弁当を持ち寄り、アルコールも登場し、本州の花見のような光景が広がります。北海道にも転勤やIターンなどで本州から来た人が増える中、運動会のアルコールに対して批判的な意見を言う人が出てきて、禁止する学校もあるようです。小さな学校に関して言えば、この光景こそ地域が支える学校という感じがして私は好きですが、都市部の場合は教育の場で云々という話になるのでしょう。これが、40名程度の学校となると、何をするにも中途半端なのです。地域住民と合同で行事を行うには、住民の数も児童数も多すぎる。だから、学校単独開催となるのですが、児童だけの競技、児童だけの演奏となるとあっと言う間に終了してしまい、ちょっとさみしい感じがします。
    ただ、残念なことに、子供の減少、自治体の財政難、政府の方針などを受けて、小学校の統廃合が進みつつあります。良いへき地教育を実施している小規模学校が、今後減り続けることになります。今や、小さな自治体では町の一番大きな小学校でも1学年1クラスしか無いことも多く、統廃合は避けては通れない道なのかもしれません。

    ちなみに、田舎の学校は親の出番がとても多くなります。農家など第一次産業主体の地域では、日中に時間の都合がついたり、重機などを持っていたりするので特にそうです。先生が少ないなどの事情もあり、親がいろいろと手伝わないと成り立たないのですが、仕事の合間をぬっ手伝いに出かけるのは結構大変です。でも、自分の子供もお世話になっているのですから、出れる時には出ておかないとねーー。

    中学校に関しては、そもそも小学校よりも数が少なく、小さな小学校に通っていた子供たちも、小学校時代よりは生徒数の多い学校となることがおおいようです。40名程度の小学校の場合、同じ地域に中学校が存在することもあり、全く同じメンバーだけで中学時代も過ごすということになります。社会性の育成などを考えると、そう言った面でも小規模校の方が良いと感じます。ずっと同じメンバーだけで幼少時代から中学校卒業までを過ごすデメリットが多いように思えるからです。

    ◆高校

    高校選びも都会のようにはいきません。北海道の高校入試は学区制で、全高校の9割以上が公立高校です。全日制の専門学科や、職業学科、総合学科、定時制、通信制の高校なら学区に関係なく、道内全域から自由に受験できますが、普通科の場合、受験できるのは基本的に保護者の住んでいる学区内の高校だけです。基本的に学区内の高校を選ぶことになります。でも、田舎ですから学区内に行きたい高校があるとは限りません。そこで、学区外受験というのをすることになります。学区外からの受け入れ枠というのが設けられていて、石狩管内を除くと学区外の受け入れは10%となりハードルは高くなります。2005年に学区が改正されて、大幅に選べる高校が多くなったようですが、元々少ない選択肢ですから、学区外受験をする生徒は多くいます。北海道の立地もあるかもしれません。交通機関が無い地域では、少し離れた高校に通うにも下宿しなければならないこともあり、どうせ下宿であれば札幌の高校に行かせても一緒だということになるようです。進学校に通うにせよ、スポーツで選ぶにせよ、専門性で選ぶにせよ、札幌がやはり最先端となりますから。下宿の環境も整っているので、中途半端な場所で下宿するよりも安心なのかもしれません。学区外受験はハードルが高く失敗することもあります。そのような場合は、地元の高校の2次募集を受験して通う事ができます。田舎の高校は定員割れしていることも多いのです。存続の危機にある地元の高校も多く、何とか生徒を集めようと、特色を出した教育を行っていたり、特進クラスなど大学受験にも力を入れている学校もあるようです。いずれにせよ、北海道では高校生、しかも公立高校の学生が下宿しているということがとても多い地域で、高校下宿は選択肢の一つとして当然のように考えられています。後は親の考え次第というところです。

    Mikimakoのほん

    MIKIMAKOの本

    もうこの本が出てから3年たったんですねえ・・・。時の流れは早いものです。まだまだ好評(?)発売中のようなので、是非一読ください。