カントリーサイドの医療福祉

生活者から見た北海道へき地医療の現状

全国的に地域医療の崩壊が危ぶまれていますが、人口密度の低い北海道はさらに危機的な状態にあるかもしれません。
広く人口密度が低いため、片道1時間以上かけて通院している人も多くいるという現状に加え、医師が確保できず、診療科目が減る病院が多くなり、さらに深刻な事態となっています。

◇地元では出産できない

医師不足により全国各地で産婦人科の閉鎖が相次いでいます。北海道では8割以上の市町村で出産ができない状態になっています。長い距離を通院している人が多く、病院に向かう途中に車内で出産したという事態も頻発しているそうです。
根室市立病院が医師を確保できず分娩を休止したことは、全道で大きなニュースとなりました。根室と言えば、根室管内の中核であり、根室市立病院の役割は大きいものでしたが、出産が出来なくなったことにより、妊婦は50km程離れた別海町、80km程離れた中標津町、そして120km以上離れた釧路市まで通わなくてはならなくなりました。根室から最も近い別海町は、小規模であるため根室からの妊産婦をすべて受け入れることはできず、中標津か釧路市まで通う人がほとんどです。釧路市でも、個人病院での出産の取り扱いが全て無くなり、釧路管内三大病院のひとつ釧路労災病院が医師確保が困難であるとして、産婦人科と小児科を休診。釧路市で出産できるのは釧路市立病院と釧路赤十字病院の2つのみとなり、近隣の町村及び根室管内からも来院するため、とても混雑しているそうです。
網走管内でも、広さ(なんと新潟県と同じくらいだそうです)の割に分娩可能な病院が少なく(7か所)、ほとんどが北見と網走にあるため、長い時間をかけて通院と出産しなければならない現状です。
出産スタイルを妊産婦自身が選ぶ、という時代の流れがあるようですが、こちらでは出産スタイルどころか産院さえも選ぶことができない状態です。

◇内科も危ない

網走管内で最大の病院である、北見赤十字病院の内科医師6人か過酷すぎる労務を理由に全員退職するという、信じがたいニュースが流れたのは2007年のことです。北見日赤と言えば、網走管内の中心病院であり、管内各地から患者がやってきます。医師不足のため、独自の地域医療として、地元の町医者と連携をはかり、初診時は地元の病院にかかり、小さな病院での治療は無理だと医師が判断した場合のみ日赤に紹介状を書くという取組みを行っていました。風邪などの軽い症状の場合は小さな町医者でという様に、役割分担を明確にすることにより、少ない医師で効率の良い医療を行おうというものでした。
そんな中心病院の内科医師がいなくなるということは、地域医療の崩壊を意味します。救急患者はどうすれば良いのか、などと言った問題も起こります。
結果的に2008年4月時点で2名の医師確保、1名の慰留に成功したということですが、内科は縮小を余儀なくされます。
今後、同様の問題が各地で発生することが懸念されます。

高齢化に加え過疎化が進み、高齢者の割合が高い地方こそ、医療の充実が求められるはずですが、医療においても地方切り捨て、地域格差が生まれるのでしょうか。

◇医療レベルは?

地方では高度な医療は期待できません。設備的な問題もあり、ある程度仕方のないこと。以前、都会から北海道の田舎に移り住んだ医療従事者が「この病院の設備で地域の医療が賄われているのはとても不安である」と言っているのを聞いたことがあります。素人ではわからない部分も多いのですが、そんな言葉が出るくらいの設備だと考えると不安にもなりますね。
いずれにせよ、高度な医療を受けるためには、札幌や東京まで行く必要があるのです。

◇病院職員の資質

派遣の要請をしても断られて、休診や縮小に追い込まれることが多い中で、へき地の病院に来てくれる医師はとてもありがたく貴重な存在になってしまいました。噂では(あくまで噂ですから)、病院に医師に対する苦情があったとしても、辞められたら困るので病院側としては打つ手立てが無いのだとか。だから、最近は傲慢で怒りっぽい医師が増えているのだそうです(これは、あくまで噂ですのであしからず・・・)。恐い先生というのはやっぱり嫌煙されがちですが、怖かろうと傲慢だろうと医師がいてくれるだけでありがたい、という状態です。このような噂にも現実味があります。

看護師に関して言えば、個人差が大きいのが現状です。ただ、へき地の看護師さんは高度な医療にかかわったことの無い人もいるためか、こなす患者数が都会とは絶対的に違うからか、勉強不足だと評する人もいます。皮下注射の後、一生懸命に揉む看護師さんもいますし、注射が痛くて痛くて仕方のない看護師さんもいます。いやいや、笑い話ではなく、へき地の病院でとにかく注射の痛い病院がありますから。そこでは、どの看護師さんが注射しても痛いんです。子供なんて大泣きで、かわいそうなくらいです。注射の痛い看護師さんが新人に教え、また教える、と繰り返しなのでしょうか?

私が一度経験して非常に困ったのは、子供が赤ちゃんの時に薬を誤飲してしまい、すぐにどうしたら良いのか病院に電話した時のこと。誤飲は親の責任なので反省しまくりなのですが、病院の対応には本当に困ってしまいました。日曜日だったので、かかりつけの小児科は電話がつながらず、近くの病院に電話しました。
町立A病院では、看護師が出てきて対応、誤飲した薬の名前(上の子の喘息の薬)を言うと「そんな薬聞いたことが無いし知らないのでわからない。そんなことでは小児科医を呼び出すことはできないので来てもらっても困る。」とのこと。当直の医師には変わってくれませんでした。続いてB町立病院では看護師が「それは困ったねえ。どうしようか?かかりつけの小児科にかけて聞いてくれる?」とのことで、ここでも医師に変わってくれませんでした。C町立病院では、警備の人が看護師さんにも変わってくれませんでした。休みだという理由です。そして、隣町のD○○病院に電話、そこで初めて看護師が医師に取り次いでくれました。全道組織の病院であるため、きちんとマニュアルがあるのでしょう。電話口で医師は「今日の当直で外科の○○です。」と名を名乗ってくれて、「血液中の濃度は通常2~3時間で薄まるので、2~3時間様子を見てください。何かあったらすぐに電話して下さい。」とのことでした。これで一安心、と思っていたのですが、実際には大人と赤ちゃんとでは違うのでしょうか、誤飲から6時間以上経過してから体温が低下したり、覚醒したりで大変なことになりました。あわてて釧路市の救急病院に電話すると、「それくらい時間が経過しているのであれば、今からできる処置はないので家で頑張って下さい」と言われ、泣く思いで一晩を過ごし、翌日小児科に駆け込み先生にお叱りを受けたのです。「その薬は簡単に子供を殺せますよ」と。結果的に大事に至らずよかったのですが、親として非常に反省した次第です。
しかし、そんな薬の名は聞いたことが無いで済ましてしまう看護師と、医師に取り次がず、看護師が緊急を要するか否かの判断をするという病院の体制には疑問を感じてしまいました。
看護師が患者を判断すると言うのは他にも何度かあり、「あと20分で外来が終了するので、来られても困る」と言われたこともあります。その時は、1歳児が発熱、一度検査をしてインフルエンザでは無いという結果が出たものの、40度の熱が3日間引かず、嘔吐するなど、インフルエンザ脳症に似た症状が出たのであせって電話したのですが、「来られても困る」という言葉にますますあせってしまったと言う訳です。

今後高齢化により、へき地医療はますます重要になってきます。安心してかかれる病院が求められることでしょう

◇時間外でも親切に見てくれることも

一応ちょっとした市だと休日や夜間は当番病院があるため、時間外の診察は当番病院に行くことが基本となりますが、田舎は病院や診療科目が少ないことや、移動距離が長いこともあり、地元の病院に電話するとすぐに見てもらえることが多いです。いつでも見てもらえるというのはとても安心ですし助かります。

◆福祉

へき地は、母子家庭、お年寄り、生活保護世帯に優しいと思います。
福祉制度そのものは、全国一律かもしれません。子供の医療費助成の年齢上限が高い地域があったり、お年寄りに地域の温泉入浴券が当たったりなどと言った、独自制度を設けている地域もありますが、だいたいは国で決められた基準の制度だと思います。

母子家庭に関しては、ひとり親家庭に手当があったり、支援があったりしますし、公営住宅にも優先的に入れ住宅にも困りません。以前に離婚した女性が、「金銭的に考えると結婚している意味が無い」と言っていたのを聞いたことがありますが、手厚い支援を受けていたのでしょうか。
お年寄りに関しては、まず、70代ではまだ老人とは呼べないのではないかと思うほど、田舎の老人は元気で、70代ではまだ次の世代に物事を譲っていないことも多く、本人は現役の気分です。それだけ、老人が生き生きと暮らせるのでしょう。定年になってすることが無くなって一気に老けこむと言った図式は、少なくとも第一次産業を生業としてきた地域では成り立ちませんから。

Mikimakoのほん

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もうこの本が出てから3年たったんですねえ・・・。時の流れは早いものです。まだまだ好評(?)発売中のようなので、是非一読ください。