牛舎猫について
◆ネズミをやっつけろ
農村部、特に酪農地帯に入ると、猫がうじゃうじゃいる光景を目にすることがあります。
iいったい彼らは何者なのでしょうか?
家主が言うには飼い猫ではないそうです。
彼らは牛舎に住みついています。餌は人間からもらったりもしているものの、特に名前があるわけではありません。
彼らは、通称「牛舎猫」と呼ばれる、牛舎の番猫。
何の番をするかというと、ネズミです。
牛舎は、牛の飼料などの餌があったりすること、野外からの行き来が自由にできること、隠れ場所がいっぱいあることなどから、ネズミの住みかとなってしまうそうです。
ネコさんたちにはそのネズミくんたちを捕って食べたり、追い払ったりする重要な役割があるのです。
数多くいるネズミくんたちに対抗するには、数多くのネコさんが必要、ってなわけで、うじゃうじゃいることもあるのです。
牛舎猫を置くだけで、見事にネズミが激減するとか。
やっぱりネズミの天敵は猫なんですねえ。
◆増える猫
牛舎猫は牛舎内でひとつの社会を形成しています。
別に群れる動物ではないのかもしれませんが、強いオスはボス的な存在になります。
繁殖期にはオス同士の喧嘩が絶えず、時にはテリトリーを超えて、隣の牛舎からオスがやってくることもあります。
ありとあらゆるところで、喧嘩する姿が見られ、怪我をしている猫も多くいます。
そして、春には多くの子猫が誕生します。
ペットとして大切に飼われている猫という訳ではないので、家猫に比べると子猫が大人になる確率は低いようです。
病気で死んでしまったり、カラスやキツネに襲われたり、親が育児放棄をしたりなどが原因です。
この、牛舎という小さな世界で形成されている猫社会では、近親交配が絶えず、死亡率はさらに大きくなるようです。
自分のお父さんとおじいさんが同じ猫、ということも平気であり得るわけです。
こうして、猫たちは少しづつ数を増やしていくようで、増えすぎると、牧場主が生まれた子猫を捨てることもあるそうです。
◆交通事故と子猫
以前、私たちは、酪農家だった人の古い家を借りて住んでいました。大家さんは離農した人たちですが、作業場として残してある牛舎では、ずっと牛舎猫が住み続けていました。大家さんは、非常に猫好きで、毎朝毎晩猫たちに餌を与えており、その数は20匹は超えていたと思います。
実は、私は猫が嫌いで、子供のころに猫を抱っこした記憶はありません。
だから、住み始めた当初は、ちょくちょく家までやってくる猫たちが嫌で嫌で仕方がありませんでした。
でも、人間って慣れるものです。次第に猫が近づいてきても平気になり、その中でも人懐っこい猫をかわいいと思うようになり、時には遊んだり、おやつ代わりに煮干しをあげたりしていました。
ある日、家の隣の道路で一匹の猫が車に轢かれて死んでいました。
抜け道となっていた道路で、全長1km程しか無い直線道路でしたが、すごいスピードで走る車が多く、猫の交通事故はそれまでにもあったようです。
この日、交通事故で死んでしまった猫には、なんと生まれて間もない赤ちゃんがいました。
2匹の赤ちゃんを見つけた大家さんが、猫を片手に一匹ずつ乗せて運び、波板のハウスの中に入れました。
その小さな小さな猫を見たうちの娘が子猫ちゃんのお世話役を買って出まして、毎日ハウスに子猫が元気かどうかの確認に行っていました。
母乳を全く飲まないとやはり育つのは難しいのでしょう。春にも関わらず寒い日が続いたある日、赤ちゃんの1匹が死んでしまいました。
1匹だけになってしまった子猫がかわいそう・・・・娘は「ずっと猫といるから、今日は保育園を休む」とまで言い出して聞かず、結局子猫を家の中に入れることに。
大家さんにトイレや砂を借りてきて、しばらく世話をすることになりました。
その子猫はたぶん近親交配で体も小さく、母乳も飲んでいないので、たぶんすぐに死んでしまうだろうと大家さんには言われました。
しかし、その後も子猫はすくすく成長し、未だに家で居候をしています。近親交配が原因なのか体はとても小さくていつまでたっても子猫のような感じなのですが、元気一杯です。引っ越しの時にもついてきて、居候を決め込んでいるようです。「でんこ」という名前までもらいましたし、今後も長いつきあいになりそうです。
猫嫌いの私が猫を飼う事になるなんて・・・・自分でも信じられません。


